高山市清見町にある小さな手作り家具工房"木童工房(もくどうこうぼう)"の日々の出来事をつづっています。
去年とは打って変わり、暑い夏の毎日が続いています。
木童工房の家具は、量産の家具とは違い、ビーンズシリーズの天板の鉋目仕上等に代表されるように、手道具を使っての加工が非常に多いのが特徴です。
そして僕はたぶん、他の人より極端なほど道具好きなんだと思います。
今回はそんな自分の、手道具についての昔話をちょっとしようと思います。
いま現在、加工にガンガン使っている道具のほとんどが、ここに来るだいぶ前、大工の小僧をしていた時に揃えた物。
そこの工務店の職人は、大型のもの以外、バンに積込めるサイズの手道具から電動工具はほとんど、各人で持っていました。仕事の方も、その加工に使う道具がなければ、当然その仕事は任せてもらえないところで、小僧の自分もそれは例外ではありませんでした。
「他人の道具を借りて、たとえその時、間に合ってもそれはお前の力じゃない。」
そう言われた言葉は、いまも心に残っています。ほぼ毎日のように掃除をしてたまに、荒削りなんかを任せてもらえる感じだったので、少しでも多くの加工に関わりたくて、次にどんな加工するのかを予想して、小遣程度(大袈裟じゃなくてほんとに(笑))の給料の中から、なんとか遣り繰りして、新しい道具を買う。道具がないとたまに回ってくるチャンスも無駄にすることになる。
我ながら、若いのに頑張っていましたね
買ったからって、研ぎや仕込を親切に教えてくれるわけもなく、見て覚えろ状態だったので、もうさっぱりわからないことばかりでした。でも、一番はじめに、その工務店の親方が連れて行ってくれた道具屋が、いまもなじみの道具屋になっているのですが、そこの主人が色々と教えてくれて、道具直しに関してはその主人が間違いなく、僕の師匠です。その主人が教えてくれたことが下地で、そこから他の職人の真似をしたり、考えてなんとか使えるようになってきました。
その主人がいつも言う言葉があります。
「なんでも手でできるようになるんだよ。それが本当の力。機械もできなきゃだめだけど、大丈夫。手で加工できりゃあ機械も使えるようになるさ。テキトウな仕事はしちゃいけない、何時まで経っても半端な仕事しかできない者になっちまう。一発でできることなんてそうそうないし、覚えるのに時間がかかるかもしれない。いいんだよ。いっつも挑戦だよ。」
いまこの工房にいて、手道具を使う機会が多い事はすごく恵まれた環境にいると感じています。
手道具と言うのは、手で使う道具だからそう言うほかに、自らの手のように扱える、仕事をしてくれるから手道具と言うのではないかと、思うのです。僕の得意の勝手な解釈ですが・・・
その人にしか出せない線が、手道具では出せる。機械に比べると精度は劣るかもしれません。でも人間が使う家具なのだから、人間の感覚で、お客様にあった理想のかたちを作っていくのも家具作りのひとつの答えではないかと思うのです。



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